World Women Creators 第二弾①:スリランカの女性たちが大事につくる、植物染のお洋服〜ブランドが生まれるまで〜

皆さん、こんにちは。RICCI EVERYDAYの仲本千津です。


今日は、5月にRICCI EVERYDAYが新しく始めた企画、”World Women Creators”の第二弾についてご紹介します。この企画は、ウガンダやアフリカに限らず、世界中の手工芸に着目し、製品を通じてその美しさや作り手の生活ぶり、あるいはその国が抱える課題などを、より深く知ろうという試みです。特に女性たちが中心となって織りなす手工芸をご紹介していく予定です。


第二弾は、スリランカの女性たちと植物染のお洋服を紡ぐLAILAHさんをご紹介します。LAILAH代表の藤原響子さんに、インタビューさせていただきました。今回は3回シリーズの1回目です。


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どのような経緯で「LAILAH」をスタートすることになったのでしょうか

20代にスリランカを初めて旅するきっかけがありました。一瞬にしてこの島の魅力に引き込まれ、

1年ほど住んだこともあります。当時はスマホやSNSもなく、自分だけのための贅沢な時間を過ごしていました。全身の感性を研ぎ澄ませ、5感でスリランカを感じる日々。緑眩しい自然、健やかな暮らし、子どもや女性たちの表情や真っ直ぐな瞳が、1人ぼっちだった自分を癒してくれました。

それから時を経て、こうして仕事をする場所としてスリランカを選んだ理由は、この島の風土に身をおきたいと思ったからです。昔からどこかアジアで何かをしたいと漠然と思っていましたが、選ぶ国はスリランカ以外には考えられませんでした。

旅をした当時、スリランカはいつ終わるかもわからない長い内戦が続いている状況でした。それが2009年に突如として収束を迎えたことが、私を衝動的に突き動かす大きなきっかけとなったのです。

再びスリランカへの行き来が始まりました。女性たちと誇りある仕事を共にしたい、ただそれだけの気持ちだけで具体的なことは何一つありません。どこに向かうことになるのかは出会う相手とやりながら考える、できることをまずやってみる、そんな感じでした。

子育て中の女性なら家庭でのミシン仕事が良いのではないかと思い、プロジェクト開始当初は家庭で小物を作ってみたりしました。そしていつしか服を作ることへとつながっていき、縫製と並行してアーユルヴェーダのハーブを使った植物染色の手法も教えました。その数年は日本で応援してくれる方に細々と低価格で買ってもらいながらも、売れるものがほぼない、とにかく作り手を作る、研修の日々でした。

プロジェクトがスタートしてから二度、チームを解体・編成し直しました。品質、信用できる人材、チームの状態、それらはいつまでもブランドを立ち上げるには脆弱なものでした。ただ、コツコツと人々に関わることで、ゆっくりと濃厚な時間がすぎていきました。10年という節目が見えた2019年、染色と縫製、両足揃って良いチームへと育ったことを機に、プロジェクトからビジネスへと、小さな循環を目指して覚悟を決める時期がやってきました。


ブランドとしてゼロ地点にたった景色はまたもや霧の中。チャレンジはこれからだったのだと気づかされ、それは途方にくれるような不安な気持ちでした。


ブランドにつけた「LAILAH」とは。


「LAILAH(ライラ)」は「助産師の天使」に付けられた名前。

「小さな子どもたち」という意味のPunchi Lamaiがプロジェクト名でしたので、何か繋がりを感じ、ブランド名にしました。


自分が出産してから視点を変え、子供たちの健やかな成長のためには、母親に寄り添うことに意味があると思えるようになりました。母親が抱える課題やジレンマは世界共通。母親たちが仕事をもち、誇りを持って生きることの、子どもたちへの影響は計り知れません。そんな世界を生み出す一助となれたらと考えています。

お写真のご提供:LAILAH